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学童期の近視について

子どもを取り囲む環境の変化により、近視の発症が増えています。

当院では低濃度アトロピン点眼と多焦点ソフトコンタクトレンズ、オルソケラトロジーレンズの取り扱いをしております。

⒈一次予防として生活環境の改善

一番大事な事は、生活環境の改善です。近業作業距離が短い(20cm以下)と、近視発症リスクが上がる事が言われています。また、屋外での活動を1日2時間することにより近視進行抑制につながると言われている上、より低年齢から屋外活動を行う事により、近視発症のリスクが減ると言われています。

⒉二次予防として近視進行抑制予防治療です

論文、学会などで有効性を検証された結果

①多焦点ソフトコンタクトレンズ(SCL)

ブライアンホールデン眼研究所のEDOF技術(焦点深度を拡張することができる技術により、遠くから近くまで連続的に焦点を合わす事が出来る)を用いた多焦点SCLを用いる事により、網膜の軸上と周辺部網膜への前方のフォーカスを行う事により、近視進行抑制をきたすと言われています。2019年の国際近視学会で近視進行抑制の効果が認められたと報告されました。近視進行抑制効果は30-40%で、下記のオルソケラトロジーレンズと比較して両者間で差はないと言われています。日中の装用のみになりますので、眼への酸素透過も良いもので、角膜内皮細胞への影響も少ないところ、また1day使い捨てのレンズですのでレンズへの汚れがつきにくいためアレルギー症状が出にくいところが利点です。近視度数が強い方でオルソケラトロジーレンズの適応外となっている方に対しても処方できますし、アレルギー性結膜炎をお持ちでオルソケラトロジーレンズの装用が困難な方も処方させていただいております。またオルソケラトロジーの治療がある一定の期間が過ぎ、近視進行が収まればこちらの治療に移行する形となります。ただ間欠性外斜視をお持ちの方は眼位が不安定になることがありますので注意が必要です。また、レンズ直径が大きいため装用に際してはご自身で装用ができるように練習が必要になります。

②低濃度アトロピン点眼

シンガポールで行われた研究で、5年間低濃度アトロピン点眼をすることによりコントロール群と比較し、60%の進行抑制があると言われました。日本で行われた最近の研究では2年間点眼をすることによりコントロール群と比較し18%の進行抑制があると言われました。現在はアトロピン濃度の違いにより進行抑制の効果に差があるかどうかが研究されているようです。多焦点ソフトコンタクトレンズやオルソケラトロジーレンズとの併用により効果があるとの報告もあります。

③オルソケラトロジー(ハードコンタクトレンズ(HCL))

素材はハードコンタクトレンズであり、就寝中に装用する事により角膜の形状を変型させて平坦化する事により、その日の近視矯正を行うもの(成人で仕事の業種により、日中のコンタクトレンズが装用が難しい人に対しての近視矯正治療)として使用されていました。論文や学会でたくさんの研究により、近視進行期の学童に対して近視進行抑制に効果があると発表されました。作用機序は上記で掲げた多焦点SCLと同様の機序で、数年間装用する事により、近視進行を抑制できると言われています。こちらは自費の診療になります。またオルソケラトロジーの治療をある一定期間させて頂いた方でも、近視の進行が落ち着きましたら、角膜の負担のことを考え、上記の多焦点ソフトコンタクトレンズ、あるいは一般の単焦点のソフトコンタクトレンズへ移行させて頂きます。

基本的に当院ではまず眼に負担が少ないアトロピン点眼の治療から始めて頂き、それでも近視が進行する方に対して多焦点ソフトコンタクトレンズあるいはオルソケラトロジーレンズの治療をご紹介させていただいています。

また、「眼鏡」は近視進行抑制の治療中でも必要です。特に日常生活でお困りの出る程度の近視をお持ちの方は、多焦点ソフトコンタクトレンズであれ、オルソケラトロジーレンズであれ、どちらでも眼の調子が悪くなれば、一旦コンタクトレンズ装用を中止していただき、眼鏡にて日常生活を過ごしていただく必要があります。そのため、上記近視進行抑制の治療が「眼鏡がいらない治療ではない」ことをお伝えさせて頂きます。

近視進行抑制に関して、聞きたい事、悩んでいる事があれば、いつでも当院へ受診してください。

やなぎさわ眼科

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